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名古屋学院大学現代社会学部主催の 「ライブセッション」第3回に 戸成代表が参加しました。

名古屋学院大学 
~学びの拠点「オアシス」開設記念ライブセッション~
「ライフイノベーション-現代社会における多様な『幸せ』をさぐる」

多様な立場のゲストから、それぞれの視点での「幸せ」についてお話しいただき、それを題材にしたゲストと学生のディスカッションを通して、「今、ここにある」課題としての多様性について理解を深めるイベント(全7回シリーズ)です。

第3回目(2019 年7月 16日実施)報告
無給だけど幸せなプロボノという生き方

ゲスト : NPO法人中部プロボノセンター 代表理事 戸成司朗 氏
司会進行 : 准教授 中島 誠 先生
報告者 : 現代社会学部3年 中村 敦貴

1 戸成氏の略歴

35 年間セゾングループ㈱西友に勤務し、07 年執行役副社長で退任。同年、住友理工㈱に入社し、CSR 部長、アドバイザーを務める。2013 年に中部圏の企業人の社会参加を目指す NPO 法人中部プロボノセンターを設立し、共同代表理事になる。また、2019 年に一般社団法人中部 SDGs 推進センターを設立、代表理事に就任し、SDGs の啓発・指導にも従事。

2 トークセッション

トークセッションは、「戸成氏の講演」「学生によるグループディスカッション」「戸成氏と中島先生による対談」という3部構成で実施された。以下にその概要を報告する。

2-1 戸成氏の講演

戸成氏によるプロボノに関する講演が行われた。講演では、自身の経験や他国の首相などの言葉を交えながら、主に
1)「プロボノとは何か?」
2)「日本の社会はまだ続く?」
3)「日本の社会は誰が支える?」という
内容が語られた。

2-1-1 プロボノとは何か? ―知的ボランティア―

プロボノとは、語源がラテン語の「pro bono publico」であり、「公共善のために」ということを意味しており、米国で弁護士が無料で行うボランティアからこのプロボノは始まった。
また、プロボノは、業務上の知識やスキルを活用した市民活動団体への支援を行っており、具体的には、「事業戦略、業務改善、組織拡大、情報システム活用、広報戦略」などの幅広い分野で活躍している。

2-1-2 日本の社会はまだ続く? ―持続可能性―

戸成氏は、これからの日本では、「人口減少社会の到来」、「国土のインフラ維持の限界」、「格差社会の到来」といった問題が生じると述べ、日本の持続可能性を考える中でこれらの問題を真剣考えなければ日本社会は崩壊すると指摘し、以下を語った。

➀ 人口減少社会の到来
2040 年では、日本の人口のピークである約 1 億3千万人から約 1 億人になると予想されており、3 千万人ほどの人口が減少する。また、2030年には 15 歳から 64 歳の生産人口が全体の 51%となり、75 歳以上人口は全体の 19.5%になると予想されている。さらに、人口の変動によってかつては 12 人で 1 人の高齢者を支える騎馬戦社会から 1 人が 1 人の高齢者を支える肩車社会になる。

➁ 国土のインフラ維持の限界
現在、国が維持している橋や道路などのインフラは補修工事が間に合わなくなるため、インフラを維持することが限界となる。新たな橋や道路を設けずに国土交通省の予算を今ある公共交通の補修に使用したとしても直せるものは半分だけであるため、3 本に 1 本の橋が通行止めとなる。このままの状態では、近い将来日本国内では橋を巡り市民同士が争うことになるかもしれない。

➂ 格差社会の到来
日本の平均年収は約 500 万円であるのにも関わらず、実際は国民の大多数は年収が約 300 万円である。この平均年収を上げている要因は一部の年収 2000 万以上の富裕層が存在していることである。その富裕層の中には数億円を稼いでいる人もいて、富裕層と貧困層の格差が激しくなっている。

2-1-3 日本の社会は誰が支える? ―共助の必要性―

人口減少社会の到来など、様々な問題を抱える日本の社会を誰が支えるのか。このような日本の未来を考える中で、日本では行政ができること、家族ができることが限界を迎えると戸成氏は指摘した。公助と自助ともに限界を迎えるため、CSR や SDGs などを意識した共助社会を作り上げる必要があると述べ、以下を語った。

➀ 共助社会
共助社会とは、市民が支えあう社会のことである。これからの日本では行政、家族ともに限界を迎えると予測されているため共助社会を作り上げる必要がある。このような共助社会では、NPO 法人に代表される市民活動団体が主役となり、社会全体で支えあうことになる。

➁ CSR
CSR とは、企業の社会的責任のことを意味している。現在は企業に対して ESG への取り組み、すなわち「環境、社会、企業統治」への取り組みが求められている。この ESG にはコミットと情報開示の重要性がある。現在では、企業のサイトに CSR のページが設けられており、多くの企業が CSR 経営を表明している。今の時代にこの CSR を持っていない企業は認められないと言われるほど浸透している。

➂ SDGs
SDGs とは、持続可能な開発目標のことを意味している。これは全ての国連加盟国 193 か国が合意した、より良い世界を目指すうえでの 2030年のあるべき姿を書いた文章である。SDGs は企業経営の未来指標であるため、多くの企業は真剣に取り組んでいる。SDGs を踏まえた CSR 営の一番の柱は人材育成であり、プロボノは企業人の社会感度を高め、求められる人材育成の最も有効なプログラムである。

2-2 学生によるグループディスカッション

グループディスカッションでは、「自分は優しい人か、強い人か」について 10 分間議論し、グループ内での発表、その後にグループの代表者が全体での発表を行った。優しいと思った人には「周りから優しいと言ってもらえるから」、「アルバイトでお年寄りに優しくできるから」、「強い人と言える経験がまだないから」といった意見が挙げられた。強いと思った人には「周りから批判されても落ち込まないから」といった意見が挙げられた。

2-3 戸成氏と中島先生による対談、および、学生との質疑応答

講演の後、戸成氏と中島先生の対談が行われた。実務家であり社会貢献の専門家である戸成氏に「外国人労働者問題」や「これから日本社会はどうなるのか、どうすべきなのか」などの日本の未来について深い意見交換が行われた。最後に、学生から挙手による質問が2件あった。それらに対する戸成氏の回答は以下のようなものであった。

2-3-1 これからの日本社会はどうすべき? ―明確な意思表示―

日本は人材不足を補うために祖先が日系であることや研修生として働くことを条件に低賃金で外国人人材を雇うが国は正式な制度としては移民を受け入れていない。このような状況で日本は持続可能なのか。
戸成氏は、「政府が国民に対して多民族国家になって共存するのか、経済は衰退するが日本国民だけでやっていくのかを議論し、決める必要があり、その意思表示の手段として選挙に行くことが重要になる」と述べた。

2-3-2 どのような企業に入るべき? ―無理のない働き方―

世の中には 300 年もの長い歴史がある企業もあれば数年で無くなる企業もある中で息の長い企業に入るためには何を基準にすればよいのか。
これについて戸成氏は、「しっかりとした家訓がある企業、すなわち企業理念がしっかりと確立されている企業を選ぶ必要がある」と述べた。

2-3-3 魅力的な学生とは?―第一印象が大切―

戸成氏によると、「清潔感がある、しっかりとした挨拶ができる、目を見て話す、グループワークなどで肝を抑えられる、機敏に動く」といった資質を備えている学生が、企業にとって魅力的に映るとのことだった。

2-3-4 最高の上司とは?―上に厳しく、下に優しく―

最悪な上司は、「部下の手柄は自分のもの、自分の失敗は部下のせい」といった思考を持った人であり、「物事を決められない上司、上に意見が言えない上司ほど部下に優しくない」と戸成氏は述べた。
最高な上司は、そのようなことをせず、上にしっかりと意見を出すことができる。もし、部下に対して嫌がらせ等の行為があった場合は職場内移動もしくは転職も積極的考えるべきだということも戸成氏は指摘した。

報告者の感想「自分の幅を広げる機会としてのプロボノと SDGs」 中村 敦貴

今回の戸成氏による講演を聴いてプロボノや SDGs の存在を知ることができ、それらを実行することの意義や生じる効果をもよく理解することができた。私は体力を使うボランティアや有償のボランティアの経験はあるが、そういうタイプではない、プロボノという知的ボランティアの存在を知ったことはとくに有意義に感じられた。

プロボノとは、業務上の知識やスキルを活用した市民活動団体を支援するための活動であり、仕事を行う上で必要となる知識などを無償で提供する活動のことだ。これまで主に年功序列の仕組みで成り立ってきた日本の企業が徐々に実力主義に変わっている中で、このプロボノに取り組むことは自己成長や自身のキャリアをより良いものにするための一つの手段だと考える。なぜなら、社会に出てから業務上の知識などの多くの情報をインプットしながらも、それをアウトプットする機会が少ないため、プロボノという手段をとることでアウトプットする機会が増え、その情報を自分のものにすることができると思うからである。そのようなインプットとアウトプットの繰り返しによって自己成長やより良いキャリア形成が達成されるのではないだろうか。また、プロボノとして活動すると、社内の人との縦のつながりだけでなく、社外の人との横のつながりを築くことができる。

これもまた自己の人間としての幅や行動の領域を広げる機会になるのではないかと考えた。

SDGs とは、持続可能な開発目標のことで、これには「誰一人取り残さない」という理念があり、地球上で生じている格差や貧困を無くすための17 の目標が設定されている。私は、貧困や格差が生じる原因には、教育を受けられないために生じる無知と、それに対する周囲の人の無知が関係していると考える。貧困な地域やそこに住む子供たちは充分な教育が受けることができないことが多い。そういう状態に置かれた子供たちは、教養や社会のいろいろな情報から遠ざけられることで一種の無知になってしまう。

結果的に、その子供たちの将来の選択肢は狭まり、安定した収入を得る可能性も低くなる。また、そういう子供たちがいるのに、周囲の貧しくない人達がそれに対して自分たちとは関係のないことだと他人事のようにして軽視しまうのも無知だと思う。SDGs への取り組みは、現在では国や企業などの組織単位で行われているようだ。しかし、それらの組織のみが取り組むのではなく、個人が取り組むことでより目標達成に近寄ることができるのではないだろうか。これから私は、格差や貧困について決して他人事にしてすませるのではなく、ことあるごとに自分の問題に置き換えて考えてみたいと思う。

今回の講演をきっかけに私は、いつか人に教えることができるほどの知識や経験を蓄えた際には、積極的にプロボノという知的ボランティアをやってみたいと考えるようになった。また、SDGs の重要性が理解できたので、自分のできる範囲で SDGs にある 17 の目標に合わせた取り組みを行っていきたいとも考えている。17 の目標には、「つくる責任、つかう責任」や「海の豊かさを守ろう」といった異なったテーマがあるが、今の私にできる取り組みがあるとするなら次のようなことだろう。

「つくる責任、つかう責任」に関しては、食料廃棄物の問題を解決するために食料品や消耗品などを無駄に購入しないことや無駄に使用しないこと、自宅での食事の際に無駄に作らないことや外食をした際に無駄に頼まないことなどだ。
「海の豊かさを守ろう」に関しては、プラスチックによる生物への悪影響を減らすため、ペットボトルやビニール袋などのプラスチック製品を極力購入しないことと使用しないことだ。そのような地道な取り組みから実行していきたい。
これからは、技術の発展や社会の構造変化によって人類がこれまでに誰も経験したことのない新たな時代を迎えると言われている。そんな未知の時代を不自由なく豊かに生き抜いていくためにも今回の講演から学んだことを忘れずに活かしていきたいと思う。

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